◆広がる雇用調整とワークシェアリング
米ウオール街発の金融危機の拡大と実体経済への波及により世界経済が減速し、国内企業の経営環境も厳しくなっている。
非正規社員を中心に人員削減(解雇増)、操業停止・操業時間短縮による休業、労働時間の短縮、賃金カットなど・・・雇用調整が広がっている。
他方、雇用を継続する企業を対象にした「雇用安定助成金」の申請が大手企業にも拡大してきており、08年秋まで有効求人倍率全国一を誇った県が、この助成金相談件数全国一になるなど雇用情勢は厳しいものとなっている。
急激な生産調整や販売不振による雇用削減の波は大きく雇用ショックの激震が続いている。人員削減か雇用の継続かが重大な経営課題となっている。
そこで雇用を守るため製造業への派遣規制の強化とか内部留保の活用などの意見も出ているが金融危機のなか、企業業績の急激な悪化で財務基盤の劣化を招きかねず難しい問題である。操業停止による休業や賃金カットによる雇用調整も広がり始めた。
かって02年(平成15年)の景気後退局面で検討されたワークシェアリング(仕事の分かち合い)が新年早々から再び議論されるようになった。前回は景気の回復により立ち消えになったが今回は雇用調整の一つとして位置付けられている。
ワークシェアリングは企業の判断や方法が尊重されるが、景気刺激策を実行し、雇用喪失を最小限にとどめることは政府の重大な政策課題である。 (09・01・17)